Happy birthday 

 

8月12日は有川将臣の誕生日である。もうすぐその日が近づいていた。

普段なら有川家春日家両家で誕生日を祝っていた。

しかし、現在春日望美は異世界京の熊野にいる。

 

誕生日祝いたいな・・

 

大切な幼馴染であり、現在最も望美が気になっているからこそ祝いたい。

望美が宿の廊下を考えながら歩いていると、将臣が縁側で自分の武器である大太刀を手入れしていた。

 

「剣の手入れしてたんだ」

「ああ」

 

望美は将臣の横に座りその様子を見学した。将臣は一つ一つ丁寧に見て太刀の手入れをおり、ときどき暑いのか邪魔なのか乱れてくる後ろ髪を後ろの方に直した。

 

「将臣くん髪伸びたよね・・」

 

「ああそうだな・・。いろいろあったからな・・」

 

「そっか・・」

 

将臣は自分たちより前にこっちの世界に来ていた。その事実を突きつけられたようで望美は切なくなった。

望美はじ〜と見たあとその髪に触った。

 

「なんだ?」

 

自分の方に目を向けられ望美はぱっと手を離した

 

「なんでもない!じゃ、じゃ私部屋戻るね」

 

望美は素早く後ろを向き急いで部屋に戻った。

 

び、びっくりした・・

 

息を整えると朔が驚いたような表情を見せ何かあったのと聞いてきた。

何でもないよと微笑んでいったが朔は不思議がっていた。

 

「ねぇ朔今度将臣くんの誕生日なんだけど何をあげたら喜んでもらえると思う?」

「誕生日?」

朔から聞いた話ではこちらの世界の人たちは数え年で、年齢を数えるため現代のように生まれた日祝うのではない。

「そうだったんだ〜」

「あなたたちの世界では生まれた日に贈り物をするのね。だったら将臣殿が欲しいものを贈ったら?」

「そうなんだけど将臣くんってあんまり物に執着しないから何が欲しいかわからないんだよね・・」

 

望美はう〜んと唸って今までのことを思い出してみたが当てはまるものが一つも見つからない。

幼いころから彼に対するプレゼントはいつも悩まされていたが、特に今回は異世界ということ三年と離れたという月日が彼女を悩ませた。

 

「将臣くんが欲しいものか・・」

 

その場にゴロンと寝転んでもう一度考えてみた。

三年か・・

彼自身の接し方は大方変わってはいない・・。ただ長くいられないこと。恩人のために恩を返そうとしていること。

彼の外見は三年という月日を感じさせる。長く伸びた髪。以前よりがっちりした体格。

 

・・・そういえば

 

望美は先ほどの光景を思い出した。身体を起こすと朔にお願いと手を合わせ将臣のプレゼントを朔に教わりながら作り始めた。

 

当日の夜

その日の夜の食事はいつもより豪華になっていた。譲が望美に頼まれて作ったのだ。

「わぁ、今日は随分豪勢な食事だね」

「どうしたんだこんなに?」

 

「今日は将臣くんの誕生日なんです」

 

「はぁ〜」

 

将臣はそういえばという表情を浮かべた。今まで忙しかったため誕生日ということなど考えていなかったのだ。

 

「誕生日?」

 

「俺たちのいた世界では生まれた日にお祝いするんですよ」

譲が一通り誕生日について説明すると皆興味深げに話しに聞き入った。特にケーキの話や恋人と過ごすものもいるといった話に聞き入っているものが数人。

 

「実に興味深い話ですね」

「ふぅ〜ん。誕生日ね〜。じゃあ姫君今度誕生日の時俺と一緒に過ごさないかい?」

ヒノエは望美の手を握りウィンクをした。

「え〜と・・」

「ヒノエ・・・。神子が困っているようだが・・」

「まぁ、今日は将臣君が主役なんだから」

「そうだな」

「なんか照れくさいな・・」

「確か神子の世界では誕生日を祝う時はこういうんだよね?」

 

 

「誕生日おめでとう」

 

 

その後食事を食べ誕生日会は賑やかに行なわれた。譲がケーキを作って出してきたのにはさすがに皆驚いていた。白龍は目をキラキラさせケーキに夢中だったが。

現在は誕生日会も終わり、将臣は自分の部屋に戻っていた。

 

「誕生日か・・」

 

将臣が布団に寝転んでいると足音が聞こえ自分の部屋の前で止まった。

「将臣くん入っていいかな?」

「ああ」

 

将臣は寝転んでいた体制から起き上がり望美を部屋に通した。

 

「ごめんね、疲れてるのに」

「どうした?」

将臣が聞くと望美は手から包みをだした。

 

「これ誕生日プレゼントの髪止。編んでみたんだけどよかったら使ってね」

 

将臣が包みを開けると中には紫色の糸で編まれた髪止が入っていた。

 

「・・ありがとな望美」

将臣は微笑んだ。

 

喜んでもらえてよかった

 

「それにしても誕生日を祝ってもらえるなんて思わなかったぜ・・。まさかまた祝ってもらえる日がくるなんてな・・」

 

将臣が切なげな顔をすると望美は将臣に抱きついた。

 

「・・何いってるのこれからだってず〜と祝うんだから・・。今まで祝えなかった分だって・・」

望美は泣いているのか声が途中から聞こえなくなってきた。

 

「・・そうだな・・」

 

これからもず〜と先の誕生日も

 

Happy birthday

 

 

 

 

後書

将臣が誕生日ということで書きました。はい・・日にち一日過ぎちゃいましたけど・・(汗)

ケーキってあの世界作れるのって質問はなしでお願いします。

最後に将臣誕生日おめでとう。

 

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