欲しいのは一つだけ

 

夏休み前のテストが終り、ようやく解放されたとばかりにクラスメートは騒いでいた。

将臣自身もテストが終り、大きな口をあけ暢気に欠伸をしていた。

 

帰ったら寝るか・・

 

昨夜は、いつもより少し遅くまでテスト勉強をしたので眠気が襲ってくる。

「随分大きな欠伸」

望美が将臣を呆れた顔で見るが、彼女の目の下には薄っすらと隈ができていた。

恐らく、彼女は徹夜で勉強していたのだろう。

その証拠に、昨日夜遅く窓から除いた時彼女の部屋の電気がついていた。

「テストどうだった?」

「・・まぁまぁ」

「どうせよかったんでしょ・・」

望美は将臣が容量が良く、成績が毎回いいのを知っている。

自分は容量が悪く、あまりできなかったので少々望美は納得が行かないという表情をしている。

「まぁな。望美はいつも通りか?」

将臣はニヤリと望美を見る。

「どうせいつも通りですよーだ」

望美がぷいっと横を向くと、教室に飾られていたカレンダーが目に入った。

もうすぐ夏休み。

「夏休みか・・」

「お前今年も、家族旅行とかうちとのバーベキューパーティーに行くんだろ?」

「うん」

夏休みは家族旅行や、花火大会や有川家との合同でのイベントなど望美にはいろいろイベントの予定が入っていた。

そして夏休みの八月には・・。

「そういえば八月は将臣くん誕生日だけど何か欲しいものある?」

「随分気が早いな」

「プレゼント用意するなら早い方がいいでしょ?」

そうは言われてもなぁと将臣は首を捻った。

いきなりではあまり思いつかない。

「なんでもいい」

「なんでもって・・。なんかないの?」

「じゃあ、バイク」

「高い!無理!」

「じゃあ、P●3」

「それも高いって!」

望美が呆れていると、将臣が何かぽつりと呟いた。

 

「・・本当に欲しいものは言えるわけねーだろ」

 

呟いてることはわかったが、望美には何を言ったか聞こえてはいなかった。

「何か言った?」

望美が聞き返すと、将臣は微笑んだ。

「なんでもない。プレゼントは俺が本当に欲しいもの用意しておけよ」

「だからそれを聞いてるんじゃない!」

望美の声は教室中に響き渡り、周りからはまたあの二人はと呆れられたのは言うまでもない。

 

終り

 

後書

将臣誕生日記念に書きました。

遅くなりましたが;

とりあえず、誕生日おめでとう!

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