平凡な朝
「将臣くん」
望美の声が部屋に響く。
「なんだよ・・」
将臣は気だるそうに彼女を見る。太陽の光が差し込んできたとはいえ、まだ起きるには早い時間だ。
朝に弱い将臣にとってはこんな時間に起こされてはたまらない。春とはいえ、起きるには少々まだ寒く、できるならまだ寝ていたい。
「なんだよじゃないでしょ!」
望美はポカポカと布団の上から叩いた。
「イテッ」
ようやく将臣が布団からしぶしぶ出て布団に座ると望美もその横に座った。
「今何時だと思ってるの?」
「今何時って・・まだ朝早いだろ」
将臣が首を傾げると望美はやれやれといった具合に呆れていた。
「今日ゼミ旅行だから、遅刻しないように早く行こうって言ったじゃない!」
「ああ・・・」
望美たちは無事大学に進学し、同じ学科同じゼミに所属していた。よく同じゼミ仲間からは「ラブラブだね」などと、言われからかわれることもある。
異世界京から数年が経ち、幼馴染から恋人へと変わってはいたが幸せな日々を過ごしていた。
「もう早く準備してよね」
「へいへい」
望美が部屋を出て行くと将臣はクスリと笑った。
京にいたころはこんな日常が来るとは思わなかったぜ・・。平凡な日常だけど悪くない・・。あいつがいるからな・・。
終わり