過去 現在 未来

 

長い戦いが終わった。

リモージュの宇宙を支配しようとしていた皇帝レヴィアス。

彼は一緒に旅した仲間のアリオスだった。

コレットにとっては旅する中で、彼の人柄に触れそれ以上の存在となっていた。

彼はコレットと姿が瓜二つのエリス、彼女の器にするため初めは彼女に近づいてきた。

だが、彼自身もコレットを思い始めていた。

しかし彼は今までの行いのため、コレットとは相容れず消滅した。

悲しみで張り裂けそうだった。

彼のためになら、自身の命を差し出すこともできた。

彼を選んでいたから。

コレットの決断は間違っていたと自分で思っている。

新たな宇宙のことを考えると、これは裏切りだ。

レイチェルに対しても・・。

申し訳ない気持ちでいっぱいになる・・。

だからこそ、彼は消滅したのかもしれない・・。

彼の消滅後、リモージュはパーティーを開いてくれた。

コレットはしばらくした後、テラスへと一人たたずんでいた。

今は感傷に浸りたかったからだ・・。

 

アリオス・・。

 

思い返すのは、旅した時のアリオスとの思い出。

始めて出あった時や、風花の街で見た雪景色、オーロラを見るという約束・・。

 

一緒にオーロラ見たかったな・・

 

不意にコレットの瞳から涙が出てくる。

 

ガタっ

 

物音が聞こえ、急いで涙を拭い音のする方を見た。

「なんや自分ここにおったんか」

「商人さん・・」

商人はコレットの顔を見て、何かを悟ったらしく黙って隣にきた。

「どうしたんですか?」

「あ、うん。自分を探しててな・・」

「私を・・?」

コレットが不思議そうに見ると、商人はニコリと微笑んだ。

「たぶんしばらくは会えんだろうと思うてな」

「そうですね・・」

コレットは寂しそうな顔をし、外を見つめた。

「今回の戦い辛かったな・・」

商人がコレットの顔を見る。

彼女は驚いた顔をした。

そして叙々にその瞳には涙が溜まっていく。

「好きだったんやろ・・」

商人の言葉に心が悲鳴を上げていく。

 

好きだった・・。

愛していた・・。

彼を守りたかった・・。

 

溢れ出す思いが止まらない。

 

 

「アンジェリーク・・」

 

商人はコレットを抱きしめた。

「今は泣いてええで。誰も見てへん・・」

商人はコレットの顔を隠すように抱きしめていた。

商人は大三者の立場として二人を見ていた。

だからこそ今はコレットの気持ちを楽にしてやりたかった。

本当は自分がコレットを愛していたからかもしれない・・。

「う、うっ・・アリオス・・」

今まで皆の前で我慢していたものが吐き出されていった。

泣きたかった。

ただひたすら。

商人の胸でしばらくは泣き続けた。

自分の思いも言った。

商人はそのたびに、頭を撫で「辛かったな・・」と慰めてくれた。

しばらくするとコレットも少し落ち着いてきて、商人から離れた。

その目は赤くなって少し腫れていた。

「ありがとうございました・・」

コレットが申し訳なさそうに言うと商人は優しく微笑んだ。

「ええよ・・。俺はあんたの味方やから・・」

コレットの頭を撫でる。

「俺はいつでも駆けつけたる!あんたが悲しい時辛い時に」

「商人さん・・」

「チャーリー」

「えっ」

コレットは突然の名前に驚く。

「俺の本当の名前はチャーリー・・。チャールズ・ウォン。ウォン財閥5代目の総帥。あんたにだけは伝えとく・・」

そういうと、チャーリーはコレットの手を握りしめた。

「俺だけやない・・。あんたには色んな人がついとる。だからな、頼って欲しいんや」

「チャーリーさん・・」

「それにアリオス・・。あの人はまたどこかで会える気がするんや・・。ひょっこり現れて皮肉を言ってな」

チャーリーがウインクをすると、コレットは微笑んだ。

「そうですね・・。私もまた会える気がします・・」

「そうや!・・やっと笑ったな・・。あんたには笑顔が一番や」

「チャーリーさん・・。ありがとうございます・・」

 

 

新宇宙に帰ってからしばらくたち、人類が始めてできたことを知った。

その男の子は金色の目と緑の目をしている。

アリオスとレヴィアスの目・・。

コレットは嬉しい時、悲しい時など時間をとり彼に語りかけるようにしていた。

彼にはたくさんの感情を知り、今度こそ幸せにいきて欲しかったから。

 

しかし、アリオスとしてまたコレットたちの前に現れた。

ラ・ガの力で急激に成長した彼は記憶を失くしていた。

現れた時彼は自分を求めていた。

彼はラ・ガに操られ、コレットを殺そうとした。

しかし、コレットは彼を慈愛で包んだ。

彼はまた行方をくらました。

 

そして現在。

コレットたちはアルカディアにいる。

銀の大樹に召喚され、エルダを解放するためだ。

そしてまた出会った。

約束の地で。

アリオスは記憶を失いコレットのことを覚えていなかった。

彼はコレットと話すことで、記憶を呼び覚ました。

しかし、彼は過去を知ったことでコレットと離れようとした。

だけど彼のことをもう二度と失いたくなかった。

コレットの思いはアリオスの心を動かした。

そして・・。

「何や最近自分ご機嫌やな」

「そう見えますか?」

チャーリーは頷くとコレットは微笑んだ。

「今日はこれからお出かけ?」

「はい」

「気ぃつけてな」

コレットがお辞儀をすると、チャーリーは手を振って送りだした。

 

何や少し寂しい気持ちやな・・

 

チャーリーはただ少女を見守るだけだった。

彼女を思うからこそ・・。

 

約束の地。

アリオスはいつものようにそこにいた。

「アリオス!」

「アンジェ・・」

コレットが勢いあまってアリオスに抱きつくと、アリオスは体制を崩しその場に倒れた。

「お前なぁ」

「えへへ」

コレットが微笑むと、アリオスもつられて微笑んだ。

「普通押し倒すか?」

「ごめんなさい」

「それに俺はこっちのほうが・・」

「きゃっ」

そういうと、アリオスはアンジェを押し倒した。

「やっぱ、こっちの方が好きだ」

「もう・・」

コレットが抗議しようとすると、その口はアリオスの唇で塞がれてしまった。

唇を解放されるとコレットは頬を赤くしていた。

「アリオスの馬鹿・・」

「くっ、その馬鹿を好きなのは誰だよ」

アリオスの意地悪な顔に、コレットは顔を背けた。

「私です・・」

「くっ」

アリオスはそんなコレットの様子を見て、ついつい笑ってしまう。

「もう!」

「悪い悪い」

口では謝罪しているものの、その顔は本気では謝っていないようだ。

「ついつい虐めたくなるんだよ・・。お前が好きだから」

アリオスは真っ直ぐにコレットを見る。

「アンジェ愛してる・・」

「アリオス・・」

アリオスはコレットにまた、キスをした。

 

過去、現在そして未来。

例え何があろうとも、二人はもう離れられない存在。

 

終り

 

後書

アリコレ←チャーリーです。

この話は前々から温めていた話です。やっとできました。

チャーリーについては天レクで2番目に高感度が高く、こういう話が生まれました。

傷ついたコレットの話聞いてくれそうだなぁ〜と思いまして。

 

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